名刺良品Blog

【デザイン用語集】オーバープリント

2014.07.09 用語集

オーバープリントとは? 機能を理解し印刷に活用しよう

印刷用語の中でも「オーバープリント」という言葉は、データを入稿したことがある方なら目にしたことがあるのではないでしょうか。
オーバープリント(overprinting)は、下にあるオブジェクトの上に重ねて印刷する処理のことを指します。
通常は上に置いたオブジェクトが下の色を“隠す”(透けない)のに対し、オーバープリントを設定すると下地の色と重なって印刷されます。

 

印刷において、このオーバープリント設定が仕上がりをきれいにするための大切なポイントのひとつになります。
本記事では、そんなオーバープリントについてご紹介します。

 

 

オーバープリントってどんな設定?

通常、Illustratorなどで文字や図形を配置すると、上に置いた要素が下の要素を「隠す」ように表示されます。
例えば、青い四角形の上(前面)に他の図形や文字を置いた場合、前面の色が優先されて青の部分は見えなくなります。

 

オーバープリントが設定されていないときは、上(前面)の要素を印刷する位置が白抜きの状態になっており、前面の要素は下(背面)の要素を印刷したインクの上からではなく、白抜きの地の部分に印刷されます。

関連記事はこちら▶︎【名刺良品blog】オーバープリントについて

下の図は、文字と背景の四角形のどちらにもオーバープリントが設定されていない場合です。

 

「塗りにオーバープリント」のチェックが外れているので設定されていない
「塗りにオーバープリント」のチェックが外れているので設定されていない

 

オーバープリントビューから「ブラック」のみ非表示にすると、ブラック(K)で作られた文字の部分が白抜きになっている。
オーバープリントビューから「ブラック」のみ非表示にすると、ブラック(K)で作られた文字の部分が白抜きになっている


 

一方、オーバープリントを設定すると、上の文字や図形に下の要素が透けた状態で、
カラーフィルムのように重なって印刷されるようになります。

「塗りにオーバープリント」にチェックを入れ、すべての要素にオーバープリント設定をした場合
「塗りにオーバープリント」にチェックを入れ、すべての要素にオーバープリント設定をした場合

 

名刺印刷のように複数の色を組み合わせ、かつ文字が主体となるデザインをする場合、
「下地と重ねることで文字をくっきり見せる」ためにオーバープリント設定が役立ちます。

 

 

オーバープリントの使い方

オーバープリントはすべての場面で使う必要はありませんが、

特に文字などの線が細くこまかい要素に設定することで、
小さく書かれた情報であっても、よりはっきり見せることができる場合があります。

 

黒文字にオーバープリントを設定すると鮮明になる

印刷は「CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)」の4色を組み合わせて表現します。
黒文字を単色の「K100%」で設定してオーバープリントをかけると、上の黒に地の色が透けてしっかり重なります。

これにより、印刷の際にわずかな版ズレが起きても文字の輪郭がくっきりと残り、小さな文字でも読みやすく仕上がります。

版ズレとは?

CMYKの4色で印刷する際に、色ごとの版が正しい位置に重ならず、微妙にズレて印刷されてしまう現象のこと。

この版ズレにより、文字や画像の輪郭がブレたり、二重に見えたりします。

版ズレの原因は下記のように様々ですが、現在は印刷機の精度が上がり最小限に抑えられています。

 

  • 紙の伸縮(印刷工程での湿気や乾燥によって、紙が伸びたり縮んだりし、版の位置がずれる)
  • 用紙送り(印刷機のローラーや給紙部の調整など)
  • 見当合わせの不良(印刷開始時の調整のほか、長時間印刷するなかで徐々に発生するズレ)
  • 用紙の厚みや種類(薄い紙やコート紙など、紙質によっても版ズレの起きやすさが異なる)


逆に、背景色の上にK100%の黒文字を印刷したいときは、文字にオーバープリント設定をかけましょう。

オーバープリントを設定しない場合、
文字の部分が抜かれた状態で背景が印刷され、その上からKの黒い文字を重ねて印刷することになるため、
抜かれた部分から地の色が見えてしまうことがあります。

 

白抜きの上から印刷するので、わずかなズレが生じ地の白が見えることがある
白抜きの上から印刷するので、わずかなズレが生じ地の白が見えることがある

 

 

そのため、文字などの細かな情報を黒字でくっきりと印刷したい場合は、
K100%で作成した文字にオーバープリント設定をかけることが推奨されます。

 


オーバープリントを活かしたいシーン

名刺では、背景にカラーやグラデーションを敷き、その上に名前や肩書きを黒文字で配置することがよくあります。
このような場合にオーバープリントを活用すると、情報がよりはっきりと見える仕上がりになります。

 

文字の見やすさを高めるための工夫

オーバープリントを使うときは、色や文字の種類に合わせて最適な方法を選ぶと、さらに仕上がりが整います。

 

黒文字:オーバープリントあり オーバープリントでくっきりと安定した印刷に

白文字:オーバープリントなし 背景を抜いて配置することで、文字がはっきりと映えるように
 

注意点★

白文字にオーバープリントを設定してしまうと、
上の白に透けるかたちで下の色が重なる = 白い文字が見えなくなってしまうので、
白い文字にはオーバープリント設定をかけないように気をつけましょう。

このように、オーバープリント設定を切り替えることで文字の可読性が高まり、デザイン全体が美しく見えるようになります。

 

 

オーバープリントの確認方法

印刷トラブルを防ぐためにも、入稿前にデータの設定がどうなっているか確認しておくと安心です。
Illustratorでは、次のような方法でチェックできます。

 

属性パネルでチェックする

Illustratoメニューの「ウィンドウ」→「属性」からは、選択した要素の「塗り」や「線」にオーバープリントが設定されているかを確認できます。

 

オーバープリントプレビューを活用する

Illustratorメニューの「表示」→「オーバープリントプレビュー」を選ぶことで表示が切り替わり、
どのような状態で印刷されるかを画面上で確認できます。

 

前面の文字にオーバープリントを設定していない場合

 

ブラックを非表示にすると、ブラックで作られた文字の部分が白抜きで表示される
ブラックを非表示にすると、ブラックで作られた文字の部分が白抜きで表示される

 

 

前面の文字にオーバープリントを設定している場合

 

ブラックを非表示にすると、ブラックで作られた文字の部分が白抜きにならず、背景色の上に重なって印刷される
ブラックを非表示にすると、ブラックで作られた文字の部分が白抜きにならず、背景色の上に重なって印刷される

 

 

画像の上からブラックを重ねる時の注意点

写真などの画像の上から黒色を重ねたい場合、K100%(スミ)の黒のみでオーバープリント設定をすると、下の画像が透けてしまいます。

ベタ塗りの図形など、広い面積に黒色を重ねて下の情報を隠したい、という場合は、CMYK100%(リッチブラック)の黒を使うことで、下の要素が透けて見えることがなくなります。

 

 

写真やイラストなどの画像の上に黒色のデータを重ねてオーバープリント設定するときは、

文字などの細かい情報はK100%、面の広い図形などはCMYK100%というように、

用途によって黒を使い分けるのがおすすめです。

 

 

終わりに

いかがだったでしょうか?
オーバープリント機能を使いこなせれば、文字の見やすさや仕上がりの安定性を高めることができます。
入稿前のデータは、「オーバープリントプレビュー」で仕上がりを確認しておきましょう。


もしご自身での確認に自信がない……という方にも、
名刺良品ではオーバープリント設定を気にしなくても、オンライン上でデータ作成からご注文まで可能な
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思い通りのデザインを形にするために、是非オーバープリントを活用してみてくださいね。